キモノレンタルとオムスビのお店 WA・KKAがお届けしてきた京都・桜の名所 着物散策ガイドも最終回になりました。Vol.8は「平安神宮」をご紹介します。
平安神宮は、平安遷都1100年を記念して1895年に創建された神社です。境内にある広大な神苑(日本庭園)には、約300本の桜が植えられており、その美しさから桜の名所として知られています。特に、紅枝垂桜(べにしだれざくら)が有名です。
おすすめ! 着物で撮影はここ
平安神宮の「紅枝垂桜」を収めた映える写真を撮影できるのが「神苑の散策路」と「栖鳳池(せいほういけ)にかかる泰平閣(たいへいかく)」です。
紅枝垂桜
平安神宮の南神苑に入ると、紅枝垂桜が咲き誇っています。朱色の社殿と紅枝垂桜を上手に収めて、色々な角度から撮影してみてください。
神苑の散策路
平安神宮の神苑には散策路が整備されています。小道沿いに咲く桜を背景に、映え写真を撮ってください。
栖鳳池にかかる泰平閣
東神苑には、栖鳳池という池があり、この池の中央に橋殿・泰平閣があります。栖鳳池に写る桜や木々を背景に、映え写真が取れるスポットです。
平安神宮について
平安神宮は、平安遷都1100年を記念して1895年に創建されました。
祭神は、平安京を開いた桓武天皇(かんむてんのう)と、最後の天皇である孝明天皇(こうめいてんのう)です。
境内には、平安時代の建築様式を再現した社殿や、美しい庭園である神苑などがあります。
神苑
平安神宮の神苑は、広大な庭園で、四季折々の美しい景色を楽しむことができます。明治時代の代表的な日本庭園として、国の名勝にも指定されています。
神苑は「南神苑」「西神苑」「中神苑」「東神苑」の4つのエリアで構成されています。
- 南神苑:神苑の入口に位置し、平安時代の庭園様式である「曲水の流れ」を再現した庭園です。紅枝垂桜の名所としても知られています。
- 西神苑:菖蒲や睡蓮などの水生植物が美しい庭園です。
- 中神苑:枯山水庭園で、石組みや白砂が特徴です。
- 東神苑:池を中心とした回遊式庭園で、四季折々の草花が楽しめます。
里帰り桜
平安神宮に咲く八重紅枝垂桜は、別名「里帰り桜」と呼ばれています。京都御所にある近衛家の糸桜がルーツで、江戸時代に津軽藩主がその苗木を東北に持ち帰り、大切に育てていました。
明治28年(1895年)の平安神宮創建の際、当時の仙台市長がこの苗木を平安神宮に寄贈したのです。
こうして、京都を離れていた桜が再び京都に戻ってきたことから、「里帰り桜」と呼ばれるようになりました。
八重紅枝垂桜は、花びらが幾重にも重なり、豪華な印象を与えます。鮮やかな紅色が特徴で、ソメイヨシノなどの一般的な桜よりも色が濃く華やか。枝が垂れ下がるように咲き、優美な姿を楽しむことができます。
小説『細雪』に登場する紅枝垂桜
小説「細雪」は、谷崎潤一郎の代表作の一つで、昭和初期の大阪を舞台に、蒔岡家の四姉妹の日常生活と、彼女たちを取り巻く人間模様を、美しい筆致で描いた長編小説です。
小説「細雪」の下巻の冒頭部分に、平安神宮の紅枝垂桜が出てくるシーンが、描かれています。
物語は昭和16年の春、次女の幸子が「今年もまた、あの紅(べに)しだれが咲いた」という手紙を受け取るところから始まります。『細雪』では、平安神宮の紅枝垂桜が、美しく、華やかで、そして儚いものとして描かれているのです。
このシーンは、蒔岡家の四姉妹の、美しく、穏やかな日常生活が、戦争の影によって徐々に失われていく中で、桜の美しさは、過ぎゆく日々への郷愁や、時代の変化に対する儚さを象徴しています。また、桜の美しさに触れることで、姉妹それぞれの心情が繊細に描かれています。
小説『細雪』
●作家:谷崎潤一郎
●発行年月日
- 上巻:1944年7月(私家版)、1946年6月(中央公論社)
- 中巻:1947年2月(中央公論社)
- 下巻:1948年12月(中央公論社)
- 当時の上流階級の生活様式や文化、ファッションなどが、細やかに描写されています。
- また、第二次世界大戦の影が忍び寄る時代であり、物語には、時代の変化に対する不安や、伝統的な価値観の崩壊といったテーマも含まれています。
- 「細雪」は、日本の近代文学を代表する作品の一つとして、今もなお多くの読者に愛されています。ぜひ一度、手に取って読んでみてください。
泰平閣
平安神宮の泰平閣は、東神苑の栖鳳池の中央付近に位置する朱塗りの美しい建物で、橋殿と呼ばれる屋根付きの橋のような構造をしています。
京都博覧会の建物の一部として京都御苑内に建てられ、大正2年(1913年)に平安神宮の東神苑に移築されました。
泰平閣からは、周囲の景色を360度見渡すことができ、桜の時期には、栖鳳池の水面に桜の花が映り込み、息をのむほどの美しさです。
現在、泰平閣は、休憩所として利用されており、池の景色を眺めながら休憩することができます。
拝観情報
- 拝観時間:
3月1日~3月14日:午前8時30分~午後5時30分(入苑は午後5時まで)
3月15日~9月30日:午前8時30分~午後6時(入苑は午後5時30分まで) - 拝観料: 大人500円、高校生400円、小中学生300円
アクセス情報
- 所在地:京都市左京区岡崎西天王町
- 交通手段:下鉄東山駅から徒歩10分、または市バス「岡崎公園・美術館前」下車すぐ
- 駐車場:なし
- 公式サイト: https://www.heianjingu.or.jp/
平安神宮へは、地下鉄東山駅から徒歩10分、または市バス「岡崎公園・美術館前」下車すぐと、アクセスも便利です。駐車場はありませんので、公共交通機関を利用することをおすすめします。
平安神宮の桜の見頃
平安神宮の桜の見頃は、例年4月上旬から中旬頃です。紅枝垂桜は、ソメイヨシノよりも少し遅れて見頃を迎えます。
4月の京都観光で桜を楽しめる散策スポットですので、ぜひ、着物でお出かけください。
Photo:京都の桜写真